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現行の角川文庫版では削られている文章があるということで、出版芸術社の自選集を比較購読しました。

まず、角川版で伏字になっていた年代が初出時のものに戻されました。
これが”正しい”かどうかは分かりませんが、自作の年表と一致したのは幸いです。
漢字の表記がかなり違っていましたが、それは些細なこと。
比較してみて削られていたのは、
まず片割れを失って惚けてしまった小竹様の描写。
これはまあ大勢に影響は無いのですが、やや問題だと思ったのが洞窟探検の場面。
いつもの離れの長持ちではなく、裏の祠から入るという話がそっくり削られていました。
角川版を読み返すと、長持ちと祠が繋がっているという描写が有り、この部分を削ったことで説明不足を生じていますね。

 

しかし一番大きいのは辰弥と慎太郎との心理戦。
金田一すら犯人の一味と思っていたわけですから、辰弥が疑念を抱くのは仕方ないところ。
しかも辰弥は金田一が知らない目撃情報まで握っているわけですからね。

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