直接民主政は一見して理想的な政体に見えるのだが、古代ギリシアの実例を見れば民衆扇動家によって簡単に衆愚政治に堕してしまう。
日々の生活に追われる庶民が高い政治意識を持ち続けるのは無理である。
さてチャーチルが最悪と評した現代の間接民主政であるが、これよりもマシな政治体制が見つかっていないのも事実である。
民主政では過半数の合意によって政治が動くが、必ずしも過半数の人間が満足するとは限らない。それは個々人が合意形成の過程でさまざまな妥協を強いられるからである。
与党の側に属していても自分の意見がすべて受け入れられるとは限らず、また野党の立場にいながらもある部分では満足できる恩恵を得ているかもしれない。
今の日本で無党派が多いというのは、価値観が多様化して特定の政党に自分の利益をすべて任せることが出来ないからなのであって、単なる政治離れ・政治不信(マスコミは安易にこの手の言葉を使いたがるが)とは違う。
二大政党制を目指すというのは、もしかすると時代に逆行しているのかもしれない。
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