ミステリー小説などでは「利益を得た者を疑う」と言う鉄則が語られる。しかし、歴史的事件をこの方式で解く事は出来ない。
そもそも実際の陰謀は予定通りには進まないので、陰謀を企てた者が最終的な勝利者になるとは限らないのである。
「風が吹くと桶屋が儲かる」と言うが、別に桶屋が儲けを狙って風を読んだ訳ではないのである。
こうした受益者=陰謀家という短絡的な発想が「陰謀論」である。
この典型として「本能寺の変・黒幕説」がある。
秀吉や家康が黒幕として名を挙げられるのは本能寺の変によって利益を被ったと判断されるからである。が、実際には本能寺の変は即座に秀吉の天下をもたらした訳ではなく、まして家康の天下は本能寺の変からは全く計算出来ない。むしろ、本能寺の変が無い(つまり信長が生きていた)方が家康の天下は(秀吉を挟まない分)早く来たのではないか。
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