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2007.09.12 (Wed)
安倍首相の悲劇
安倍首相には確かに運があった。それがなかった彼の父は総理の椅子に座る前に亡くなってしまった。
しかし運から与えられるのは機会だけである。
では機会を生かすだけの力量がなかったのか。彼が短期間に為した業績は決して小さくない。
彼の悲劇は時代性のわずかなずれに合ったのだと思う。
彼の目指した政策は、国民の国家に対する信頼無くして成り立たない。しかし彼の政権下で起こった様々な事件はそれを裏切るモノであった。
それは「政治と金」の問題ではない。致命傷だったのは「消えた年金問題」である。
これは国家に対する国民の疑念を否が応でも煽ってしまった。
国家が国民に対して保護義務を怠っているのに、誰が国家のためにより大きな奉仕を
望むだろうか。
経験不足も含めて、彼は登場が早過ぎたのである。
しかし、彼を引きずり足したのが前政権下での彼の過剰な人気であったことを忘れては成らない。
民主制国家において、政治家の質は国民の質によって規定されるのだから。
数日前から準備していた文章なのだが、こんなにタイムリーなネタになるとは思わなかった。
参院選の敗北直後に辞めていれば、再登場の機会も有っただろう。逆にこの難局を乗り切れば大宰相への道も開けただろう。
期待していただけに残念である。
しかし小泉前首相と違って、代わりは居ないと言うタイプの政治家でない事も確かである。
あの人は特殊すぎた。そして最も相応しい時期に登場しその役割を果たした。
あの様な人物は滅多に出ないから良いのだろう。英雄を必要とする時代とは間違いなく不幸である。
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