ムスリムの社会はシャリーアと呼ばれるイスラーム法に則って運営されている。
シャリーアは単なる宗教戒律ではなく広く慣習法として完成されており、ここがキリスト教起源の民主主義と抵触する。
キリスト教社会ではキリスト教の戒律がローマ法やゲルマン法などと交わって慣習法が形成されてきた。
それ故に政教分離が容易であったと言える。
キリスト教がユダヤの民族宗教から普遍宗教へと発展したのに対し、イスラームは普遍宗教からアラブ人の民族宗教へと落とし込んだいわば逆ルートで成立した。
いわゆるイスラーム帝国では支配層のアラブ・ムスリムとそれ以外の異教徒が重層関係にあって共存してきたのだが、
ここに民主主義の平等思想が持ち込まれるれば混乱が生じるのはむしろ当然であろう。
イスラームと言うのはユダヤ教に始まる聖書ストーリーの完成形なのであるが、完成形であるが故にその発展段階で持っていた柔軟性・同化力を失って硬直化している。
政治も宗教もひとたび完成を見ると、そこから衰退が始まるようだ。
参考文献:古代オリエントの宗教
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