主人公はウーナの孫娘(彼女の両親は養子)。
初めの展開はまるで「アリス」の様ですが、第二部へ入ると状況は一変します。
語り手はエルリックに交代。前巻に引き続いてストームブリンガーを探し求める彼ですが、その彼が行き着いた世界は<悲劇の千年期>を経た世界。即ちあのホークムーンのホームグラウンドです。
しかし、よく読むとどうも様子が違う。第二巻のラストで黒玉と黄金の戦士の持ってきたソリアンダムの機械でカマルグごと異世界へ逃亡する筈だったのが、彼の裏切りを許せなかったホークムーンがその提案を拒絶してグランブレタン軍に蹂躙されてしまったらしい。
ホークムーンとオラダーンは逃亡、ブラス伯は重傷を負い、イソルダ(意図的なのか名前を変えてある)はメリアダスに捕らえられてしまう。
当然ながら三巻でのダヴェルクとフローナの出会いもなく、彼女は愛を知らぬまま最後に命を落とす。
そう言えば、フローナはヒュオンの従妹にしては年齢がとか言われていたが、彼らグランブレタン人は見かけ通りの年齢ではないらしいことがほのめかされている。
ホークムーン世界にエルリックが乱入した(ホークムーンとの対面は無し)ように、敵方にもゲイナーとクロスターハイムが荷担。タラゴームとブー・ユング男爵(蛇騎士団の団長が何故かカランではない)の4人で世界を四等分しようと画策する。
でも彼らは致命的な勘違いをしているのであるが…。
この世界は、天秤が破壊された後のサイクルで、それ故に”ルーンの杖”が無いのである。だからホークムーンの”背任”も許されてしまったのだろう。
その報いか、ホークムーン自身はロンドラ攻防戦で命を落とし、ブラス伯も負傷して退却。明らかに駒不足である。
逆にメリアダスは生き延びたらしいが、ロンドラは最後の手段として用意されていた核攻撃で吹っ飛んでしまう。
一度完結した世界を此処までみごとにぶっ壊してみせるとは、ムアコック恐るべし。
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