隆慶作品再読。
「風の呪殺陣」「一夢庵風流記」
初読が評伝を編む前だったので、未収だった二作品。
時代小説人物評伝一向一揆の中にいわゆる自由民が加わっていたとして、しかしその戦いが自由を希求した戦いであったとは限りません。
なんとなく執筆当時の左翼的階級闘争史観が感じられてなりません。
作者の死が冷戦終結直前だったこともあって、あと10年生き長らえて予定の加筆をしていたら全く違った展開だったのかもしれません。
前田慶次のキャラはあまりに漫画チックで好きになれません。悪く言えば中二病的な。
作者がドラマ脚本家上がり故なのか大河的なサービス過剰、主人公を持ち上げすぎたためのひいきの引き倒しなストーリー展開が鼻につく。
史実とほとんど絡まない(故にここには挙げなかった)「鬼麿斬人剣」はエンターテイメントと割り切って楽しめたんですけどね。
結局作中ににじみ出る戦中派(=いくさ人)の説教くささが自分に合わないんでしょう。
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